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嫌気性接着剤の塗布について 〜液体の性質や注意点についてご説明〜

ディスペンサの事例

物と物を接着する役割をもつ接着剤。
接着剤には時間をかけて固まる物や熱によって硬化する物など、さまざまな種類がありますが、その一つに、金属に触れた状態で酸素を遮断することにより硬化する「嫌気性接着剤」があります。
今回は、嫌気性接着剤の性質や取り扱い時の注意点のほか、嫌気性接着剤を塗布する為に必要なディスペンサの対策をご説明します。

嫌気性とは?

嫌気性接着剤が持つ嫌気性とは、酸素を遮断し、金属と接触することで硬化する性質のことを指し、その性質から嫌気性接着剤は金属同士の接着に適しています。
嫌気性接着剤が接着する仕組みは、酸素があると嫌気性接着剤の組成が安定するため硬化せず、酸素を遮断し金属イオンに触れることで反応を起こし、硬化が始まります。
徐々に硬化が進み、完全に硬化したあとはプラスチック状になります。

嫌気性接着剤を塗布する際の注意点

こちらでは、ディスペンサで嫌気性接着剤を塗布する際の注意点や対策についてご説明します。

ターゲットに塗布するまでは金属に接してはいけない

嫌気性接着剤は金属と反応するため、ターゲット(吐出の対象先)に塗布するまでは金属に接してはいけません。
そのため、シリンジやノズル、チューブなど液体が触れる箇所についてはプラスチックなど金属以外の部品でディスペンサを構築する必要があります。

適量の塗布

嫌気性接着剤は金属と反応して硬化するため、ターゲットからあふれて金属に触れない部分は硬化しません。
液体がターゲットからはみ出さないようにするには、正確な吐出量の測定や接着する物同士の圧着力の変更などが挙げられます。

接着層が厚くなると硬化しにくくなる

接着層が厚くなる、つまり嫌気性接着剤を分厚く塗ると硬化しにくくなります。
金属と接している箇所は硬化が早いですが、嫌気性接着剤の内部は金属が接している箇所に比べて硬化が遅いです。
そのため、接着層が厚くなれば厚くなるほど嫌気性接着剤内部の硬化が遅くなります。
接着層が厚くなる際の対策は、最適な量の嫌気性接着剤の塗布や、薄い層を何度も重ねて塗布するなどが挙げられます。

嫌気性接着剤の使用例

放熱剤塗布の課題

こちらでは、嫌気性接着剤の使用例をご紹介します。

ネジ止め箇所の接着

主に金属で製造されているネジ・ビス・ボルト・ナットなどを使用したネジ止めの接着にも、嫌気性接着剤が使用されます。
例えば、機械や家具などに使用されるネジに嫌気性接着剤を塗布して、ネジとナットのすき間に充填した箇所が空気の遮断により接着することで、ネジが緩んだり外れたりするリスクを下げることができます。
ネジ止めに使用するディスペンサに求められる機能は、狭い箇所に液体を吐出する細いノズルや、少量の液体を吐出するシステムなどです。

平らな金属の接着

平らな金属同士を貼り付ける際にも嫌気性接着剤が使用されます。
UV接着剤の場合、金属がUVを遮ってしまうため硬化しにくいですが、嫌気性接着剤は金属に触れると硬化が始まるため、平らな金属の接着に向いています。
平らな金属の接着に求められるディスペンサの機能は、広い範囲への塗布や接着する形状に合わせた吐出ができるノズルなどです。

おわりに

今回は、嫌気性接着剤の性質や注意点のほか、嫌気性接着剤を塗布する際に必要なディスペンサの対策をご説明しました。
嫌気性接着剤は酸素を遮断し、金属に触れることで硬化が始まる接着剤です。
そのため、金属同士の接着の際に嫌気性接着剤が使用されます。
嫌気性接着剤を吐出する際の注意点は、ターゲット(吐出の対象先)に塗布するまでは金属に接してはいけない、ターゲットからはみ出ないように適量を塗布、接着層が厚くなりすぎないように気を付けなければなりません。
接着剤はターゲットによって硬化条件や時間、硬化強度が変わりますので、正しく使用しましょう。