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用語解説 Vol.5:ディスペンサで使用する液体

樹脂

樹脂とは元々は植物から採取される樹液が固まった物質のことで、松脂や漆など植物由来の樹脂や動物・鉱物が由来の樹脂を「天然樹脂」といい、一方で化学の発展により石油などを原料として人工的に「合成樹脂」が量産されるようになったことで、今日では天然樹脂と合成樹脂を総称して樹脂といいます。

合成樹脂は「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」に大別されます。
熱可塑性樹脂は融点まで加熱するとやわらかくなり、冷却すると硬くなる性質を持つ樹脂です。
さまざまな製品の素材として使われるプラスチックの多くは熱可塑性樹脂であり、一般的に熱可塑性のプラスチックは耐熱温度により次のように分類されます。

●「汎用プラスチック」

耐熱温度が概ね100℃未満とされています。代表的なものにはポリエチレンやポリプロピレンなどがあり、耐熱性や耐候性は高くありませんが、加工がしやすく原材料コストが安価なため、日用品などの製造に使用されます。

●「エンジニアプラスチック」

耐熱温度が概ね100℃以上とされています。代表的なものにはポリカーボネートやポリブチレンテレフタレートなどがあり、機械的強度や耐熱性が高いため耐久性が求められる部品の製造に使用されます。また、耐熱温度が概ね150℃以上のものは「スーパーエンジニアプラスチック」とされています。

一方、熱硬化性樹脂は加熱すると硬くなり、一度硬化すると再加熱をしても形状変化しにくい性質を持つ樹脂です。
耐熱性・耐薬品性・接着性が高いものが多く、接着剤や塗料などに使われます。
代表的な熱硬化性樹脂にはフェノール樹脂やエポキシ樹脂、メラミン樹脂などがあり、強度と耐久性に優れる一方、硬いという特長があるため熱可塑性樹脂と比べると耐衝撃性は低いです。
また、形状変化しにくい性質からリサイクルに向かないため、可能な限り廃棄物や不良品を作らないようにするなど、環境に及ぼす影響に注意が必要です。

エポキシ

エポキシとは合成樹脂のひとつで、組合わせる硬化剤の種類などにより、さまざまな特性を持たせることができる点が特長で、塗料や接着剤として電子部品、土木材、複合素材などさまざまな業界の製造物に使用されています。

エポキシが持つ主な特長は、下記の通りです。

●電気絶縁性、耐熱性、耐薬品性、耐水性に優れている

●さまざまなものを接着することができる

●硬化収縮率が小さいため寸法安定性が良い

●揮発性有機化合物(VOC)の発散が少ない

●毒性や引火性が小さい

混合する主剤や硬化剤によって、紫外線に弱いエポキシが生成される場合には注意が必要です。
耐候性(太陽光や温度・湿度などの天候がもたらす劣化に耐えられる性質)を持つエポキシの場合は問題ありませんが、太陽光にさらされ続けると色が薄くなったり、塗装がはがれてしまったりといった劣化が発生する場合があるため、屋外や太陽光に長時間当たる場所には、耐候性が強化されたエポキシの使用をおすすめします。

また、主剤と硬化剤が混合された状態である1液性のエポキシも販売されているため、用途によって使い分けましょう。

アクリル

アクリルは合成樹脂のひとつで、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体です。合成樹脂の中でも耐候性や透明性が高い性質を持つ素材で、成形加工が容易な点が特長です。

アクリルが持つ性質とその性質が活かされている製品をご紹介します。

●耐候性

耐候性は、屋外での耐久性を表し、太陽光や温度、湿度、雨などの天候がもたらす劣化、変形、変色を起こしにくい性質のことです。
さまざまな条件下でも高い耐候性を持つアクリルは、自動車のテールランプや航空機の窓などに使用されています。

●透明性

アクリルはガラスよりも高い透過性を持ち、その性質を利用して、アクリルは光学レンズや時計のレンズ、携帯電話の画面などに使用されています。

●耐衝撃性

アクリルはガラスに比べて耐衝撃性が高いため割れにくく、万一破損しても大きく破片が飛び散ることがないなど安全性に優れているため、後述する撥水性と併せて、船の窓や水族館の水槽など特殊な箇所に使用されています。

●撥水性

撥水性とは水をはじく性質のことを指しており、高い撥水性を持つアクリルは、トイレや浴槽といった水に触れる機会の多い製品に使用されています。

また、アクリルはプラスチックや金属などを接着する用途とするアクリル樹脂接着剤としても使用されています。

なお、アクリルは耐熱性が低く、高温になるとやわらかくなるため注意しましょう。

ウレタン

ウレタンとは合成樹脂のひとつで、「ポリウレタン」の通称です。ポリオール成分とイソシアネート成分の反応による「ウレタン結合」と呼ばれる化学反応によって生成される樹脂のことを指します。

ウレタンが持つ主な性質や特長は、下記の通りです。

●高い伸縮性

●高い強度・硬度

●吸水性

●吸音性

●断熱性

●軽量

●衝撃吸収

さまざまな特長が含まれるウレタンは家具やクリーナー、衣類、吸音材、マットレスなどに使用されています。
ウレタンは泡状のフォーム品や、泡状ではない非フォーム品の2つに大別することができ、フォーム品のなかには軟質・半硬質・硬質の3種類があり、泡構造の密度により分けられます。
下記のように、質ごとに使用する製品が異なります。

●軟質  :クッション材、スポンジなど日用品

●半硬質 :マットレスなど

●硬質  :断熱材、吸音材など

非フォーム品のウレタンの種類には合成ゴムが含まれており、自動車やバイクのタイヤなどに使用されています。

また、ポリイソシアネートとポリオールの付加によるウレタン化反応を利用して接着するウレタン系接着剤としても使用されており、硬化後は弾力性のあるゴム状で、衝撃吸収性に優れていることが特長です。

シリコーン

シリコーンとはケイ素樹脂のことで、ケイ素を含む有機化合物の重合体の総称です。
混同しがちですが、シリコンは元素であるケイ素のことで、シリコーンは化合物のことを指します。

シリコーンが持つ主な性質や特長は、下記の通りです。

●耐熱性・耐寒性

●電気絶縁性

●撥水性

●消泡性

●無色透明

●無味無臭

前述の通り、さまざまな性質や特長があるシリコーンは、多くの業界で使用されています。
こちらでは、業界別にシリコーンの用途を一部ご紹介します。

●建築業界

防水や撥水、耐久性といった性質が必要になる建築業界では、建築用撥水材やシーリング材、屋根や壁面の防食・塩害防止材などに使用されています。

●電気・電子業界

電気・電子業界においてシリコーンは絶縁体だけではなく放熱材、接着剤、キーパッドカバー、半導体封止用樹脂などに使用されています。

●日用品業界

日用品として使われるシリコーンのなかには、口に入れても害がなくやわらかい性質を利用した哺乳瓶や歯科用材、パッキンなどに使用されています。
また液状のシリコーンは、シャンプーやコンディショナーといったヘアケア商品や、口紅、マニキュアといった化粧品などに使用されています。

グリス

グリスとは潤滑剤の一種で、基油に液体の粘性を高める成分を持つ増稠剤(ぞうちょうざい)を混ぜた半固体状潤滑剤です。
潤滑剤を形態で分類すると、液体潤滑剤、半固体状潤滑剤、固体潤滑剤に分かれており、それぞれ硬さが異なるため用途によって使い分けられており、半固体状潤滑剤のグリスはベアリングやブッシュなどの潤滑の用途として使用されています。

グリスに求められる性能は下記の通りです。

●適性稠度

稠度(ちょうど)とはグリスの硬さを表す数値で、稠度の値が大きいほどやわらかいグリスであることを示します。
稠度が大きすぎるとグリスがやわらかいために吐出した箇所から漏れ出したり油膜切れを起こしたりする場合があります。
また、稠度が小さすぎるとグリスが硬いために吐出した箇所の抵抗が大きくなったり、油分が少ないことでうまく潤滑しなかったりする場合があるため、負荷や速度などの用途に適した稠度で使用しなければなりません。

●酸化安定性

酸化安定性とは酸素との反応によるグリスの酸化に対する抵抗性のことです。
グリスは高温環境等で空気中の酸素と反応することで酸化劣化をしてしまうことがあり、異臭が発生したり変色したりといった変化だけではなく、稠度も変化してしまう場合があるため、酸化安定性が求められます。

●機械的安定性

機械的安定性とは機械的せん断に対する強さのことです。
グリスは潤滑部にて機械的せん断を受けてしまうと、稠度が変化して潤滑不良などが起こってしまう場合があるため、機械的安定性が求められます。

上記の性能以外にも用途によって耐熱性や耐水性といった性質を、基油・増稠剤・添加剤の配合によって付与します。

また、錆の発生を防止する防錆剤や金属表面の腐食を防止する腐食防止剤などの添加剤を配合することによって、グリスにさまざまな性能を付与することも可能です。