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用語解説 Vol.6:製造時にディスペンサを使用する製品

プリント基板

プリント基板とは基板の一種であり、絶縁基板の上や内部に導体の配線のみが施され、電子部品が取り付けられていないプリント配線板(Printed Wiring Board:PWB)と、プリント配線板(PWB)に抵抗器やICなどの電子部品を取り付け、電子部品同士を導体の配線でつなげて電気的に接続することにより、電子部品から電子部品へ電気信号や電力を伝えるプリント回路板(Printed Circuit Board:PCB)の総称です。

プリント回路板(PCB)が使用されているカメラやスマートフォンは小型化・軽量化が進んでいるため、それに合わせるようにプリント基板も小型化が求められています。

プリント回路板(PCB)を製造する際のディスペンサ使用例をご紹介します。

●小型化された部品の接着

小型化された部品を基板に接着する際に、微少量の接着剤を定量吐出することができるディスペンサを使用します。

●ポッティング

ポッティングとは、部品の固定や汚れからの保護、防水、耐久性の向上などを目的として、樹脂をターゲット(吐出の対象先)に注入し、部品や回路を封止する作業のことです。
ポッティングは封止する高さや広さに合わせて正確な液量を注入する必要があるため、精度の高い吐出が可能なディスペンサを使用します。

●アンダーフィル

アンダーフィルは、耐落下性や耐振動性などの強度を上げることや電子部品からの熱や気温の変化に対する耐熱などを目的として、樹脂を部品と基板の隙間に浸透させて硬化させます。
部品と基板の非常に狭い隙間へ樹脂が均一に行き渡るように、部品の周辺に微少量の樹脂を正確に線引き塗布できるディスペンサを使用します。

半導体製品

半導体とは、電気を通す「導体」と、電気を通さない「絶縁体」の中間の性質を持つ物質です。

半導体は温度の変化によって電気抵抗率が変化します。低温時にはほとんど電気を通さず、温度が高くなるにつれて電気が流れやすくなります。
また不純物の添加によっても電気抵抗率が変化します。例えば代表的な半導体であるシリコン(Si)は絶縁体に近いため電気はほとんど流れませんが、ホウ素(B)やリン(P)などの不純物を少量加えることで電気抵抗率が下がり、電気が流れやすくなります。

この電気抵抗率の変化という特長を利用して、電流を一方通行にするダイオード、電気信号の増幅や電流のON/OFFをスイッチングするトランジスタなどの半導体素子が構成されています。なお、ダイオードやトランジスタなどの素子単体やIC(集積回路)などを半導体と呼ぶこともあります。

半導体を用いた半導体製品の一部をご紹介します。

●IC

IC(Integrated Circuit:集積回路)とは、1つのシリコン基板の上にトランジスタ、コンデンサ、抵抗器など複数の機能の素子を集積した回路のことです。
また、ICの集積度をより高めて、1つのシリコン基板の上に大規模の素子を集積した回路のことをLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)と呼んでいます。

●パワーモジュール

パワーモジュールとは、直流の電気を交流もしくは交流を直流にしたり、電圧や周波数を変えたりする役割を持つパワー半導体を複数組み合わせて、電源関係の回路を1つのパッケージに集積した製品です。
1つのパワーモジュールに複数の回路を集積することで、電子機器の小型化や製造プロセスの簡略化による生産性の改善を図ることができ、白物家電や自動車、鉄道などで使用されています。

光学部品

望遠鏡、顕微鏡、カメラなどの光学機器は、光の直進や屈折、反射、干渉といった性質を利用した製品です。光学機器には自然光ではなくレーザーを使用する製品もあり、CDなどの光ディスクにレーザーを照射してデータの記録を行う光学ドライブなどがあります。
なお、光学機器を構成する部品のことを光学部品といいます。

光学部品に関するディスペンサ使用例をご紹介します。

●レンズ

光学部品であるレンズは、断面形状の違いによって大きく凸レンズと凹レンズに分けられます。
凸レンズはレンズのふちより中心部が厚く、光を1点に集める働きをし、凹レンズはふちより中心が薄く、光を広げる働きをします。
光学機器の多くは凸レンズと凹レンズを組み合わせてレンズを作っており、そのレンズの焦点を調節することで、拡大・縮小してものを見ることができます。
レンズを使用した主な光学機器には望遠鏡や顕微鏡があり、レンズと部品を接着するためにディスペンサで接着剤を塗布することがあります。

●光ディスク

光ディスクとは音楽や写真、映像などのデータを保存することが可能な記憶媒体であるCD、DVD、ブルーレイディスクの総称です。
光ディスクは透明なプラスチック板、アルミニウム薄膜の反射層、表面の保護層などからできており、データを読み取る際にはプラスチック板にレーザーを照射し、反射する光の強度の違いで音声や画像を読み取ります。
データの書き込みはディスクにより方法が異なりますが、例えばCD-Rの場合は、プラスチック板にレーザーを照射して有機色素層(記録層)の色素が光を吸収し、反射層の局部を熱して変形させることでデータを書き込みます。
さまざまな情報を書き込むことができる光ディスクを製造する際には、紫外線硬化樹脂や接着剤を定量吐出する際にディスペンサを使用することがあります。

ディスプレイ部品

電子機器におけるディスプレイとは映像を表示する部品で、コンピュータやテレビ、スマートフォン、タブレットなどに使用されています。

主なディスプレイの種類には液晶ディスプレイや有機ELディスプレイがあり、液晶ディスプレイは、液晶層とカラーフィルター(RGB)にバックライトからの光を当てることで映像がパネル(画面)に映し出され、有機ELディスプレイは、有機EL素子(RGB)に電圧をかけることで有機EL素子自体が赤、緑、青に発光するRGB方式などにより映像がパネル(画面)に映し出されます。

液晶パネルが使用されているスマートフォンなどは軽量化や小型化が求められているため、電気回路の基板に軽さと薄さが特長であるフレキシブル基板(Flexible printed circuits:FPC)が多用されています。
折り曲げができるほど薄いフレキシブル基板と液晶パネルとの接合部分を補強するため、精密性の高い塗布が可能なディスペンサを使用して補強剤を塗布することがあります。

自動車部品

さまざまなメーカーで生産されている自動車は、数多くの部品から構成されています。
自動車部品を製造する際には、部品を接着する接着剤や、部品同士の摩擦を減らして動きをなめらかにするグリスなどの液体を使用します。

製造時にディスペンサを使用する自動車部品の一部をご紹介します。

●オイルフィルタ

オイルフィルタとはエンジンオイルに含まれる不純物をろ過するためのパーツです。
パッキンの役割であるOリングの劣化やずれを防ぐため、溝の部分にグリスを塗布します。

●電気自動車用バッテリー

電気自動車(Battery Electric Vehicle:BEV)に搭載されている電気自動車用バッテリーは、エンジンの始動時やライトなどの電装品への電気の供給はもちろん、自動車の駆動力を生み出すためにモーターへの電気の供給もしており、主にリチウムイオン電池が電気自動車用バッテリーとして使用されています。
バッテリーに負荷が高くかかることで熱が上がり続けてしまうと、バッテリーの寿命が短くなることや、熱暴走を起こしてしまい故障する恐れがあります。
それらを防ぐため、部品内部の熱放出を促進して部品の温度を調節する放熱材を電気自動車用バッテリーに塗布することで、内部の熱を放熱材が塗布されている箇所から表面へ移動させます。

その他、ECU、イグナイタ、スティックコイルなど自動車部品のあらゆるところでディスペンサが使用されています。

航空機部品

航空機においては、航空機部品や内装品などの製造時にディスペンサが使用されています。
航空機の部品などを製造する際に使用される液体をご紹介します。

●難燃性の液体

航空機の安全性を保つため、航空機部品には火や煙について厳しい規格があるため、部品の製造において燃えにくい性質である難燃性接着剤などの液体が使われる場合があります。
使用例には、ハニカムパネル(内装などの構造材料)を製造する際の難燃性接着剤があります。

●防錆性が高い液体

冬場の滑走路には、航空機の離着陸を安全に行うべく凍結防止剤を散布している場合がありますが、凍結防止剤は金属の腐食や錆の原因になりうるため、航空機の金属部品に影響が出る恐れがあります。
小さな部品でも腐食や錆が発生すると事故などのリスクにつながる恐れがあるため、金属部品に使用するグリスなどは防錆性が高いものを選定することで、腐食や錆を防ぐことが可能です。
使用例には、ベアリングなどの小さな金属部品へ防錆性が高いグリスの塗布があります。

安全な航空機を製造するため、前述のような液体を定量吐出できるディスペンサが使用されています。