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ディスペンサで使用する液体の粘度と温度の関係

液体の粘度

普段の生活になじみが深い、水やオイルなどの液体には性質の1つである粘性を表す数値として「粘度」があります。
液体は粘度が低いほどサラサラと流れやすく、粘度が高いほどドロドロになり流れにくくなります。
また、液体は熱したり冷やしたりすると、温度変化と共に粘度も変化します。
今回は、液体における粘度と温度の関係についてご説明します。

粘度とは?

液体における粘度とは、サラサラさ、ドロドロさといった粘り度合いを表す数値です。
液体は複数の原子が結合した分子によって形成されており、その分子は液体中での密度が非常に高く、それぞれの分子が狭い空間内で動いています。
分子は常に動いており、分子同士で引き合おうとする引力(分子間力)が働き、その発生する引力こそが粘りになります。
なお、液体の温度が高いとそれぞれの分子が活発に動き回る傾向があり、分子間に距離ができることで分子間力が下がるため、高温の液体は粘度が低くサラサラしています。
次の項目では、粘度と温度の関係性を示す「アンドレードの式」を用いて数学的に関係性をご説明します。

数式で見る粘度と温度の関係

粘度と温度の関係性

アンドレードの式とは、1934年に物理学者エドワード・アンドレードが発表した、粘度と温度の関係を以下のように表した式です。

アンドレードの式
アンドレードの式
η : 粘度
T : 温度
a・b : 材料固有の係数
exp : 指数

こちらの数式でご覧いただきたい箇所は、粘度を表すηと温度を表すTです。
アンドレードの式には定数や係数などの要素が含まれますが、ご覧の通り液体の温度が分数の分母の箇所にあります。
式にあてはめて計算すると、分母である液体の温度が高くあればあるほど、導き出される粘度は低い数値になります。
つまり、アンドレードの式では温度が高いと粘度が低いという関係が表されています。

粘度の変化とディスペンサの対策

どのディスペンサを使うべきか

液体の粘度に関するディスペンサ使用時の注意点として、タンクに入れた時の液体の温度と吐出する時の液体の温度の違いが挙げられます。
液体がディスペンサ内で流れていくにつれて温度が低くなってしまうと、タンクに入れた時よりも粘度が高くなり、液体が吐出されにくくなる場合があります。
粘度の変化を防止するためには、タンクに入れてから吐出するまで液体の温度を一定に保つ必要があり、その対策としてタンク・ポンプ・ホース・ミキサ・バルブなどの部品にヒーターを取り付けることで、液体はディスペンサ内で温度を保つことができます。これにより、粘度が高くなることなく吐出されやすい状態を保ちます。
なお、ヒーターはディスペンサ製作時に取り付ける対応のみでなく、すでに使用されているディスペンサにヒーター機能を後付けすることも可能です。

バンドヒータとは

バンドヒータとは、円筒状の被加熱体を温めるために使用する帯(バンド)状になったヒーターのことです。
発熱体をマイカ板で絶縁し、ステンレスやボンデ鋼板などの金属で周囲を覆っています。

バンドヒータは、軽量かつ薄型で、被加熱面に密着させて固定できるのが特徴です。
ポンプやタンク、ミキサなどのディスペンサ部品に取り付けて、ディスペンサ内の液体の温度を必要な温度まで加熱し保ちます。

ただし、密着面との間にゆるみがあると加熱効率が低下するため、被加熱体に合ったバンドヒータを取り付けなければいけません。

以下は、カッパー5へのバンドヒータ取付例です。

カッパー5へのバンドヒータ取付例

バンドヒータの取付が可能なディスペンサの部品

ディスペンサのシステムは、ターゲット(吐出の対象先)や使用する液体によってシステムの構成が異なります。
すでに使用されているディスペンサにヒーター機能を後付けする場合は、製品によって、どの部品にヒーターを取り付けるのが良いかを確認しましょう。

ここでは、バンドヒータの取付が可能なディスペンサの部品・取付例について説明します。

タンク

ディスペンサのタンクは、使用する液体を入れる部品です。
2液型ディスペンサの場合、主剤と硬化剤それぞれの液体を入れるタンクが必要です。

【2液型ディスペンサ】少量用カッパー5」は、タンクにバンドヒータを使用します。

タンクにバンドヒータを取り付けて加熱することで、液体の粘度を下げ、ポンプへの液体の流れを良くする役割があります。

【2液型ディスペンサ】少量用カッパー5

少量用カッパー5

【2液型ディスペンサ】少量用カッパー5は、さまざまな産業分野で絶対の信頼を得ている、カッパーシリーズの最新モデルです。
タッチパネルにより操作性が向上し、各種タイマ等を標準装備するなど、機能性も充実しています。
コンパクトな設計で使いやすく、ミキサには動作音が静かな小型高速ブラシレスモータを採用することで、より快適な作業環境を実現しています。

【仕様】

吐出量
範囲*
0.03〜2.0ml/shot
(ポンプコンビネーションによる)
適応比率
範囲*
100:100〜100:5
使用可能
粘度*
1〜300,000mPa・s
(高粘度の場合は加熱により使用可能)
原料タンク 1L・1L
(ステンレス製角形タンク)の組合せ
洗浄タンク 10L 圧送タンク(ステンレス製)
ミキサ ダイナミックミキサ
又はスタティックミキサ
計量方式 容積計量 (ポジロード式)
駆動方式 エアシリンダ駆動
制御方式 シーケンス制御 (PLC)
エア源 0.4MPa (ドライエア)
電源・消費電力 AC100V ・ 500W
本体寸法 535(H) × 350(W) × 615(D)mm

*数値は理論値です。使用樹脂や作業環境等により変動することがあります。

ポンプ

ディスペンサのポンプは、圧力によって液体を押し出すだけではなく、その液体を計量する機能も担っています。
2液型ディスペンサの場合、主剤と硬化剤を混合比率どおり正確に計量できるよう、主剤と硬化剤をそれぞれ計量するポンプが取り付けられています。

また、容積計量方式のポンプには、主に「プランジャポンプ」「ポジロードポンプ」「スクリューポンプ」などの種類があり、ポジロードポンプはピストンの径とストロークの体積によって吐出に必要な液量を確保するため、液体の粘度変化による吐出量のばらつきが少ないのが特徴です。

タテ型ポジロード計量ポンプ式ラムダI/II」は、2種類の材料液を正確に比率計算し、高精度に吐出をする独自のタテ型ポジロード式計量ポンプを採用しています。

ラムダI/IIでは、タテ型ポンプ(円筒状)の形状に合わせてバンドヒータを密着して取り付けて加熱することで、タンクで加熱した液体がポンプ内で冷えて粘度変化することによる吐出時の過負荷や、吐出後にポンプ計量室内にタンクから材料液を吸い込む際の吸い込み不足などを防ぐことが可能です。

【2液型ディスペンサ】タテ型ポジロード計量ポンプ式ラムダI/II

タテ型ポジロード計量ポンプ式ラムダI/II

タテ型ポジロード計量ポンプ式ラムダI/IIは、「広範囲」「高精度」「操作性」を追求した2液型ディスペンサです。
独自のタテ型ポジロード式計量ポンプに加え、液体を確実に混合する電動ロータリミキサ、吐出先端部の液ダレをカットするドージングバルブを搭載しています。
オプショナルアクセサリも充実しているため、耐摩耗性ピストンを使用すれば、フィラーなどの含有液でも沈降することなく長期間の高精度計量吐出が可能です。
また、作業に必要なスイッチ類は、すべて操作パネルに組み込まれているため、簡単かつ確実な操作ができます。

【仕様】

機種名 ラムダ I ラムダ II
吐出量範囲 0.36〜22.7 ml/shot 1.5〜136.1 ml/shot
適応
比率範囲
100:5〜100:100
(ただし設定吐出量によって変る)
使用
可能粘度
1〜1,000,000mPa・s
(高粘度の場合は加熱により使用可能)
原料タンク 6L
(ステンレス製)
20L
(ステンレス製)
洗浄タンク 19Lオープンタンク (ステンレス製)
ミキサ 電動ロータリミキサ
又はスタティックミキサ
計量方式 容積計量
(ポジロード式)
駆動方式 エアシリンダ駆動
制御方式 シーケンス制御 (PLC )
使用
周囲温度
0〜50℃
エア源 0.4MPa以上 (ドライエア)
電源・消費電力 Φ3 AC200V ・ 500W
本体重量 約300s 約350s

ミキサ

ミキサは、2液型ディスペンサで使用する2種類の液体(主剤と硬化剤)を均一に混合するために使用する部品です。

タンクやポンプで加熱した液体の温度を下げないで混合する必要がある場合は、ミキサにもヒーターを取り付けます。

【2液型ディスペンサ】比率可変式ツインフローVR-50/100」は、ダイナミックミキサにバンドヒータを取り付けます。

【2液型ディスペンサ】比率可変式ツインフローVR-50/100

比率可変式ツインフローVR-50/100

比率可変式ツインフローVR-50/100は、広範囲な混合比率が可能な2液型ディスペンサです。
幅広い粘度の液体に対応し、計量・混合・定量吐出をスピーディに連続処理します。
フィラーなどの含有液も難なくこなし、注入・注型をはじめ、接着・シーリングまでさまざまなニーズに対応可能です。
また、作業に必要なスイッチ類を操作パネルにすべて組み込んでいるので確実な操作が簡単にできます。

【仕様】

機種名 VR-50 VR-100
吐出量範囲 3〜255ml/shot 85〜1000ml/shot
適応比率
範囲
100:100〜100:1 100:100〜200:1
使用可能
粘度
1〜1,000,000mPa・s
(高粘度の場合は加熱により使用可能)
原料タンク 20Lオープンタンク
(ステンレス製)
洗浄タンク 19L圧力タンク
(ステンレス製)
ミキサ 方式:電動ロータリミキサ
メカニカルシール材質:超硬合金
本体材質 : SUS303
ミキシングチャンバ内容量 : 25ml/50ml/75ml(選択)
計量方式 容積計量
(ポジロード式)
駆動方式 エアシリンダ駆動
制御方式 シーケンス制御 (PLC)
エア源 0.5MPa
電源・
消費電力
Φ3 AC200V ・ 500W
本体寸法 1355(W) × 900(D) × 1681(H)mm 1545(W) × 1100(D) × 1681(H)mm
本体重量 約300kg 約350kg

おわりに

今回はディスペンサで使用する液体の粘度と温度の関係についてご紹介いたしました。

液体における粘度とはサラサラさ、ドロドロさといった粘り度合いを表す数値で、液体は粘度が低いとサラサラと流れやすく、粘度が高いとドロドロと流れにくくなります。
液体には分子間力が働いており、分子同士が引き合おうとすることにより粘りが発生します。

なお、粘度と温度には液体の温度が高ければ粘度が低いという関係があり、液体の粘度と温度の関係を数式にした「アンドレードの式」でも表されています。

また、液体をディスペンサで吐出する場合は、粘度が変化しないようにタンクに入れてから吐出するまでの液体の温度を一定に保つ必要があるため、タンクなどの部品にヒーターを取り付けることによって、液体を吐出するまでの温度を保ちます。

もし、使用する液体の粘度に関するディスペンサの対策についてお困りでしたら、ぜひ当社までお問い合わせください。

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ディスペンサの導入をお考えの方は、ぜひナカリキッドコントロールにお気軽にご相談ください。

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