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ディスペンサの代表的な吐出方法と仕組み

ディスペンサの吐出方法

定量の液体を吐出し、封止や接着などさまざまな用途に用いられるディスペンサ。
使用する液体の種類によって流れやすさ、つまり粘度が異なるため、どのディスペンサでも同じように液体を吐出することはできません。
そのため、液体の粘度や吐出量に合わせて吐出方法を検討する必要があります。
今回は、ディスペンサの代表的な吐出方法と仕組みについてご説明いたします。

ディスペンサの吐出方法

ディスペンサでターゲット(吐出の対象先)に液体を吐出するためには、液体を貯蔵するためのタンクや、液体を計量するためのポンプ、吐出量・吐出のタイミングなどを制御するコントローラ、その他バルブやノズルなどと組み合わせてディスペンサシステムを構成します。

またディスペンサは、吐出する液体によって、1液型もしくは2液型のディスペンサシステムを構成する必要があります。

1液型ディスペンサは、1つの液体を正確に計量し、定量を吐出するディスペンサです。
1液とは、単体で使用する液体や硬化剤がすでに混ざっている状態の液体など、混合する必要なく使用可能な液体を指し、ディスペンサで吐出することで接着や封止、充填などの作業を行います。

2液型ディスペンサは、主剤と硬化剤それぞれの液体の混合比率を正確に計量し、その混合液を吐出するディスペンサです。
主剤はコーティングや接着などの新たな性質を与える成分が含まれている液体で、硬化剤は主剤を硬化させる役割を持つ液体です。
また、主剤と硬化剤の混合後は可使時間(ポットライフ)が限られているため、可使時間内に吐出する必要があります。

他に、3液の液体を計量・混合・吐出する3液型のディスペンサもあります。

ディスペンサで使用する液体の種類については、以下の記事で詳しく解説しています。

用語解説 Vol.5:ディスペンサで使用する液体

ディスペンサシステムは、吐出量や使用する液体の性質により、最適な吐出方法を選定しましょう。

こちらでは、ディスペンサの各吐出方法とその仕組みについてご説明いたします。

エアシリンジ方式

エアシリンジ方式とは、空気圧により液体を押し出して吐出する仕組みのディスペンサです。
エアシリンジ方式のディスペンサは、主に吐出対象の液体を入れるシリンジやレギュレータ、開放弁、制御機器、ノズルなどによって構成されます。

液体の吐出量制御は、主にシリンジ内の液体を空気圧で押し出す時間で調整し、設定した値に吐出量が達する際に、制御機器によって弁を閉じることで液体の吐出を止める仕組みになっています。
使用する液体量に応じてシリンジの容量を決定し、ターゲットへの吐出量に応じてノズルを選定します。

【エアシリンジ方式の製品例】
エア圧送式シリンジタイプ DCOP-SC1

エア圧送式シリンジタイプ DCOP-SC1

コンパクトなボディにシリンジ吐出に必要な基本機能を凝縮した、コストメリットの高い汎用タイプの1液型ディスペンサです。

AC100〜240V対応のため、海外でもそのまま使用することができます。
タイムレンジは最小0.001秒から設定でき、微少量吐出や微妙な吐出時間の設定が可能です。
外部入出力端子付でロボットなどの自動機との連動が可能で、設置スペースをとらず、軽量のため持ち運びがしやすい点も特長です。

【仕様】

吐出量範囲 0.0005ml/shot 以上
シリンジ容量 55ml・30ml・10ml・5mlより選択
電源・消費電力 AC100V〜240V ・ 25W
エア源 0.5 MPa (ドライエア)
圧力レンジ 0.02〜0.49MPa
タイムレンジ 0.001 〜 99.999秒
動作モード タイマ動作(定量) ←→
ステディ動作(連続)
外部入力 無電圧接点、又はオープンコレクタ
外部出力 オープンコレクタ

チュービング方式

チュービング方式とは、ポンプ内にあるロータが回転しながら、ロータの周囲に取り付けられているチューブに圧力をかけ、その圧力により液体の吸い込みと押し出しを繰り返すことで吐出する仕組みのディスペンサです。
ロータがチューブを押しながら回転を行い、押された箇所が復元する際に発生する圧力で液体を吸い込みます。
吸い込まれた液体はロータが回転することで吐出部まで送られるため、回転の動作を繰り返すことで吐出します。

プランジャ方式

プランジャ方式とは、プランジャによって液体を押し出して吐出する仕組みのディスペンサです。
ディスペンサのIN切換弁が開くことでタンクから計量室へ液体が流入され、吐出信号と同時にIN切換弁が閉じる事で、タンクからの液体の流入を止めます。
続いて、OUT切換弁が開き、プランジャが計量室内の液体を押し出すことで吐出部へ液体が送られ、吐出されます。
そして、OUT切換弁が閉じ、それと同時にIN切換弁が開いて、再びタンクから計量室へ液体が流入されるという流れを繰り返し行います。

【プランジャ方式の製品例】
微少量用2液型ディスペンサ ν(ニュー)シリーズ

微少量用2液型ディスペンサ ν(ニュー)シリーズ

ナカリキッドコントロールが得意とする容積計量方式(プランジャポンプ)のフラッグシップモデルで、高精度吐出のための新機能・新機構を搭載しています。

モジュール化されたユニットで様々な樹脂に対応しており、高粘度液剤でもエア抜きがしやすいポンプ構造です。
ニューUは内部圧力を一定化することで吐出量が安定しています。

7型ワイドカラーの大画面を採用しているため、様々な情報を1画面で確認することができます。
また、軽量でコンパクトなアルミ製ケースの採用により、手持ち操作も可能です。

【仕様】

吐出量範囲 0.036〜5ml *1
適応比率範囲 100:100〜100:50 *2
使用可能粘度 1〜300,000mPa・s
原料タンク 330mlカートリッジ用タンク、2.5kg
容器用タンクから選択
ミキサ スタティックミキサ
駆動方式 サーボモータ駆動
エア源 0.4MPa(ドライエア)
電源・消費電力 AC200V ・ 1.2kW

*1 数字は理論値です。使用樹脂や作業環境などにより変動することがあります。
*2 樹脂仕様によります。上記範囲内でも使用できない樹脂もあります。

ポジロード方式

ポジロード方式とは、液流路内に設けた計量室内でピストンが押し出した体積分の液量を吐出する仕組みのディスペンサです。
ピストンの径とストロークの体積により、吐出に必要な液量を確保するため、液粘度変化による吐出量のばらつきが少ない計量精度の高さが特徴です。
そのため、低粘度から高粘度の液体まで幅広く対応が可能です。

【ポジロード方式の製品例】
カッパー5

少量用カッパー5

材料液の粘度変化に影響されない容積計量方式ポジロードポンプの採用により、高精度計量吐出が可能な少量用2液型ディスペンサです。

タッチパネルの採用により操作性の向上や各種タイマ等の標準装備により機能が充実しました。
コンパクトな設計で使いやすく、小さな設置スペースでセットアップも簡単に行なえます。ミキサには動作音も静かな小型高速ブラシレスモータを採用、シンプルなボディデザインは作業効率を向上させ、快適な作業環境を実現します。

【仕様】

吐出量
範囲*
0.03〜2.0ml/shot
(ポンプコンビネーションによる)
適応比率
範囲*

100:100〜100:5

使用可能
粘度*
1〜300,000mPa・s
(高粘度の場合は加熱により使用可能)
原料タンク 1L・1L
(ステンレス製角形タンク)の組合せ
洗浄タンク 10L 圧送タンク(ステンレス製)
ミキサ ダイナミックミキサ
又はスタティックミキサ
駆動方式 エアシリンダ駆動
制御方式 シーケンス制御 (PLC)
エア源 0.4MPa (ドライエア)
電源・消費電力 AC100V ・ 500W
本体寸法 535(H) × 350(W) × 615(D)mm

*数値は理論値です。使用樹脂や作業環境等により変動することがあります。

2軸サーボ駆動式 カッパー5 DUAL SERVO

2軸サーボ駆動式 カッパー5 DUAL SERVO

カッパー5のバリエーション機で、2軸サーボ駆動方式を採用したことにより、高い繰り返し精度を誇ります。

コンパクトさは維持したまま、使い勝手やコストメリットが向上しています。
2軸補間制御により、簡単に比率・吐出量・速度の設定ができます。
本体内レイアウトがシンプルになったことにより、良好なメンテナンス性を有します。
ミキサには動作音も静かな小型高速ブラシレスモータを採用し、作業環境が改善しました。

【仕様】

吐出量範囲 0.03〜2.0ml/shot
(ポンプコンビネーションによる)*1
適応比率範囲 100:100〜100:5*1
使用可能粘度 1〜100,000mPa・s*2
原料タンク 1L・1L
(標準:SUS製角タンク 容量・形状は選択可能)
ミキサ ダイナミックミキサ
又はスタティックミキサ
駆動方式 2軸サーボモータ駆動
制御方式 シーケンス制御 (PLC)
エア源 0.4MPa以上 (ドライエア)
電源・消費電力 AC100V ・ 700W
本体寸法 535(H) × 350(W) × 615(D)mm

*1 数値は理論値です。使用液、条件により変動します。
*2 使用する条件に制限がかかる可能性があります。

ハイブリッドプランジャ方式

ハイブリッドプランジャ方式とは、プランジャ方式とポジロード方式を融合した仕組みのディスペンサです。

【ハイブリッドプランジャ方式の製品例】
2液型ハイブリッドプランジャポンプHPP1-T

2液型ハイブリッドプランジャポンプHPP1-T

プランジャ式とポジロード式の融合(ハイブリッドプランジャ式)により、極微少量の高精度吐出とコンパクト化を実現した2液型ディスペンサです。
当社独自技術の段付きプランジャ式により、極微少量を高精度に吐出することが可能で、当社が培ってきたポジロード式の原理を用い、プランジャ自体が入口逆止弁の機能も兼ね備えるようになっています。このプランジャポンプとポジロードポンプが合体するという全く新しい発想により、IN切換弁が不要となることでコンパクト化を実現しました。
また、ロボットのヘッド部とも組み合わせができるように軽量化も図っています。

【仕様】

吐出量範囲 0.007〜0.716ml/shot (プランジャ径により異なります) *1
適応比率範囲 100:100〜100:10 *2
使用可能粘度 1〜300,000mPa・s
原料タンク シリンジ
ミキサ スタテックミキサ
駆動方式 2軸サーボモータ駆動(ストローク:25mm)
制御方式 位置決め制御(ポジションコントローラ)
電源・消費電力 AC100V・200W
本体重量 1.8kg

*1 数値は理論値です。使用樹脂や、作業環境などにより変動します。
*2 樹脂仕様によります。上記範囲内でも使用できない樹脂もあります。

エンドレスピストン方式

エンドレスピストン方式とは、計量部がロータとステータからなる回転式変位ポンプと呼ばれるもので、ロータが回転するとステータ内で往復運動が行われ、ポンプ室に充填された液体を無限のピストン運動による無脈動で連続して定量吐出する仕組みのディスペンサです。
吐出終了後はロータを逆回転させる吸い戻し(サックバック)機能により、ノズル先端の液切れ向上・液だれ防止をはかります。

【エンドレスピストン方式の製品例】
高精度定量吐出装置 vipro-PUMPシリーズ スクリューポンプ

高精度定量吐出装置 RDタイプ スクリューポンプ

低粘度から高粘度までさまざまな材料液を正確に計量し、エンドレスピストンによる連続した吐出を実現しました。
線引きの太さは回転速度によって調節ができ、吐出量の調節範囲が広いのが特長です。
また、高精度でありながらシンプルな機構で、専用工具不要で手早く分解できるため、メンテナンスが容易な点もメリットの一つです。

【仕様】

ポンプ
型式
vipro-PUMP
14
vipro-PUMP
40
vipro-PUMP
100
vipro-PUMP
180

理論
吐出量

0.14 ml
/ 回転
0.38 ml
/ 回転
1.10 ml
/ 回転
1.80 ml
/ 回転
ポンプ
流量範囲
0.7 〜 17
ml/min.
1.9 〜 47
ml/min.
5.5 〜 137
ml/min.
9 〜 225
ml/min.
材料粘度 低粘度〜高粘度
材料温度 +10℃〜+50℃
運転環境
条件
気温:+10℃〜+40℃ 
気圧:0.1MPa
重量
(駆動部含む)
3.1kg 3.1kg 3.2kg 3.4kg
最大
回転数
125rpm
* 高回転数にするとステータの寿命が短くなります。
* ポンプ流量は使用樹脂の粘度と吐出速度の関係により変わります。流量変化のない範囲でご使用ください。
* 装置構成により原料タンクに補助加圧が必要となる場合もあります。
* 使用樹脂によっては吐出確認テストが必要となる場合もあります。

ディスペンサ導入時の選定ポイント

ディスペンサ導入時の選定ポイント

ディスペンサを選定する際のポイントの一例としては、ターゲット(吐出の対象先)と液体の粘度が挙げられます。

ターゲットについては、自動車の車体とFPC基板では大きさ、精密性ともに大きく違うため、同一のディスペンサでは対応することができません。

吐出する液体については、粘度の低いシリコーンゲルや粘度の高いグリスなどを同一のディスペンサで扱うことができない場合があります。
粘度については原材料が含まれるパッケージに記載されていることがありますが、もし記載されていなかった場合はメーカーへの問い合わせや粘度計測器で測定をする必要があります。
なお、液体の粘度は温度と反比例の関係性があり、液体の温度が高ければ粘度が下がり、温度が低ければ粘度が上がります。

例えば水の場合、0℃の時は1.792mPa・sですが、100℃の時は0.282mPa・sと高温の時は低温の時よりも粘度が低くサラサラになります。

ディスペンサ選定前にターゲット(吐出の対象先)と液体の性質を理解しておくことで、正しいディスペンサを導入、使用することができます。

液体の性質については、以下の記事でも詳しく解説しています。

ディスペンサで塗布する際に重要となる液体の性質

おわりに

今回はディスペンサの吐出方法と、それぞれの仕組みについてご紹介しました。

吐出方法にはエアシリンジ方式、チュービング方式、プランジャ方式、ポジロード方式、ハイブリッドプランジャ方式、エンドレスピストン方式などがあり、使用する液体や使用目的によってディスペンサを構成する必要があります。
また、ディスペンサは単体の液体を吐出する1液型ディスペンサと、主剤と硬化剤の2液を正確な比率で混合した液体を吐出する2液型ディスペンサがあります。

ディスペンサは、吐出する液体やターゲット(吐出の対象先)ごとに最適なものが製造されているため、適切なディスペンサを選ぶようにしましょう。

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