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ディスペンサで塗布する際に重要となる液体の性質

ディスペンサで塗布する際に重要となる液体の性質

液体には、粘度や濡れ性などのようにディスペンサで塗布する際に重要となる性質があります。
今回は、液体が持つ代表的な性質をいくつかご紹介します。

粘度

液体において、サラサラさ、ドロドロさといった粘り度合いを表す数値を「粘度」と呼びます。
粘度は液体ごとに異なっているのはもちろん、同一の液体であっても液体の温度によって粘度は異なります。一般的に液体の温度が上昇することで粘度は低くなり、逆に液体の温度が低下することで粘度は高くなります。

下記のように粘度と温度の関係を表す式は複数あります。

・アンドレードの式
ガラス転移しない物質もしくはガラス転移点以下における最も一般的な理論式。温度が高いと粘度が低いという関係が表されます。

・WLFの式
ガラス転移点がある物質の溶解物や流体における経験式。正式名称はウイリアムズ・ランデル・フェリーの式です。

粘度には温度依存性があるため、ディスペンサで塗布する液体は温度管理が重要です。
例えば、液体をディスペンサで吐出する際、タンクに入れた液体が冷えて粘度が高くなる場合があるため、液体の温度を一定にして液体が吐出されやすい状態を保つ必要があります。その手段の1つとして、タンクなどの部品にヒーターを取り付けることで、液体を吐出するまで温度が低くなることなく一定に保つことが可能です。

※粘度・温度に関しては、「ディスペンサで使用する液体の粘度と温度の関係」でもご紹介しています。
ご興味のある方は、こちらの記事もご確認ください。

濡れ性

固体表面に対する液体の付着しやすさのことを「濡れ性」と言います。
濡れ性が良いほど固体表面と液体の親和性が高くなるため、液体が付着しやすくなります。
濡れ性は、固体表面と液面が接触する角度である接触角によって評価されます。
接触角が小さければ小さいほど固体上の液体は広がった形状になるため濡れ性が良く、接触角が大きければ大きいほど固体上の液体は球状を維持するため濡れ性は悪くなります。

ディスペンサで接着剤などの液体を塗布する際、液体をターゲット(吐出対象先)に付着させやすくするために接触角を小さくし、濡れ性を良くすることが重要です。

また、濡れ性に似た言葉に「親水性」と「疎水性」があります。
親水性は水への溶けやすさを表しており、疎水性は水への溶けにくさを表していますが、物質の表面状態においてそれぞれの表現を用いる際には、親水性は水に濡れやすいこと、疎水性は水に濡れにくいことを表す場合があります。

表面張力

ディスペンサで塗布する際に重要となる液体の性質

液体が自ら収縮し、液体の表面で自らの面積をなるべく小さくしようとする性質のことを「表面張力」と言います。
コップに水をあふれるほど入れてもこぼれない様子など、表面張力は日常生活でもよく目にすることがあるかと思います。
物質には、固体・液体・気体の三つの状態があり、物質が液体の状態にある場合、液体を構成する分子は比較的自由に動くことができます。
しかし、表面張力の働きにより、液体は丸みを帯びた形を取り、特に重力を含めた外力が作用しない環境であれば、液体は球状となります。

ディスペンサで液体を吐出する際、吐出後に液体が表面張力によりノズルに留まる場合がありますが、表面張力が小さい液体の場合は液体が垂れやすくなります。
たった一滴だとしても、ターゲット(吐出対象先)に液だれしてしまうと品質が変わってしまう恐れがあるため、液だれには細心の注意を払う必要があります。
ノズル先端部の液だれを防止するため、ノズル先端の内径を小さくすることや、スクリューポンプの場合は回転するロータを吐出終了後に逆転させるサックバック機能によりノズル内の液体を吸い戻すなどの対策を行います。

※液だれに関しては、「ディスペンサでうまく吐出ができない場合の確認項目をご紹介」でもご紹介しています。
ご興味のある方はこちらの記事もご確認ください。

おわりに

今回は、ディスペンサで塗布する際に重要となる液体の性質をご紹介しました。
液体ごとに粘度は異なり、同一の液体であっても温度によって粘度は異なります。
また、濡れ性によって液体の付着しやすさも異なります。
他にも、液体が自ら作用する性質として表面張力もあります。表面張力が小さい液体の場合は液だれが起こりやすくなってしまうため注意が必要です。